用語解説

歪曲収差(Distortion)

光学倍率

図3 主要点と結像関係:光学倍率は物体と像の大きさの比をいいます。関係は下記のとおりです。

光学倍率
テレビモニター倍率:物体をカメラで撮像し、TVモニターに写した際のモニター上の倍率をいいます。カメラ素子寸法とモニター寸法比により倍率が異なります。

TVモニター倍率

分解能(Resolution)

2点をどこまで分離して見られるかの間隔を表します。0.61×使用波長(λ)/N.A.=理論分解能(μ)
上記計算式で理論上の分解能が示せます。但し、光学的収差は含まれておりません。
※使用波長は550nmで計算

解像力(Resolving Power)

2本の一定ピッチで接近したライン等の像を分離できる本数をいいます。
表現はラインペア(lp)/mmで1mm内に白黒ラインのピッチが何本見えるかで表します。
2本の見え方や分離コントラストの定義がないと個人差がでやすいデメリットもあります。

MTF(Modulation Transfer Function)

物体表面の濃淡の繰り返しを像側でどの様に再現されるかを空間周波数とコントラスト比で表したものです。

W.D(Working Distance)

レンズ鏡筒端から物体までの距離。

O/I(Object to Imager)

物像間距離。物体とイメージャー(像)間のトータル光学全長。

カメラマウント(Camera Mount)

Cマウント   フランジバック17.526mmJIS規格ネジ
CSマウント   フランジバック12.5mmJIS規格ネジ
Fマウント   フランジバック46.5mmJIS規格ネジ
M72マウント  フランジバックは各カメラメーカーにより異なる

イメージサークル(Image Circle)

有効な結像円寸法、φで表現する カメラサイズは
このサークル内に入らないとケラレが起きます。

視野(Field of view)

使用カメラで見える物体側の範囲
カメラ有効素子寸法(V)/光学倍率(M)=視野(V)
カメラ有効素子寸法(H)/光学倍率(M)=視野(H)
*当技術資料上の視野範囲はカメラ素子寸法の一般的な数値から計算した値です。
厳密には基準寸法がカメラ仕様により異なります。
「カメラ有効素子寸法(V)or(H)=
カメラの1画素寸法×有効画素数(V)or(H)」
にて計算ください。

被写界深度(Depth of field)

物体面が前後してもピントがボケずに鮮明であると受け入れられる範囲をいいます。
同様に像面側(カメラ素子側)の範囲を焦点深度といいます。
具体的な被写界深度の値は、像がどこまでボケを許容するかにより異なります。
許容ボケ量は許容錯乱円といい使用カメラにより異なります。当技術資料内の数値は仕様表欄外に示す通り計算上の数値です。

焦点距離

光学系の後側主点(H2)から焦点面までの距離。

FNO

無限遠時のレンズ明るさを表す数値で数値が小さいほど明るくなります。
FNO=焦点距離/入射瞳径或いは有効口径=f/D

実効F(有効FNO)

有限距離においてレンズの明るさを示す数値。
実効F=(1+光学倍率)FNO ※実効FとFNOの関係式
実効F=1(/ 2NA÷光学倍率M)

N.A.(Numerical Aperture)

物体側開口数N.A.といい像側開口数をN.A.’といいます。
下記の図において光学系の入射瞳が物体側に張る半角をu、射出瞳が像側に張る半角をu'とし、
物体側の屈折率をn、像側の屈折率をn'とし、下記の計算式が成立します。

周辺光量(Relative lluminance)

光学レンズ像側面での中心の明るさ100%とし周辺の明るさの比を%にて表現することを言います。 

テレセントリック光学系(Telecentric Lens)

主光線がレンズ光軸に対して平行なレンズをいいます。
物体側テレセントリック、像側テレセントリック、両側テレセントリック等の方式があります。

テレセントリシティーについて

テレセントリシティーとは物体の奥行き方向に対する倍率誤差の事です。倍率誤差が少ないほどテレセントリシティーが高いといわれます。
テレセントリックレンズは寸法計測等色々な用途で使用されていますが、使用する前にレンズのテレセントリシティーを把握しておくのは非常に重要なことです。テレセントリックレンズは主光線がレンズの光軸に対して平行である為、高さ方向に違いのあるワークなどに非常に重宝されています。もし、テレセントリシティーが悪い場合、画面の周辺と中心、また高さ方向の奥と手前で見え方が変わってきてしまう為テレセントリックレンズを使用している効果が得られなく無くなってしまいます。
テレセントリシティーを確認するには下図のようなワークを使用すると比較的簡単に確認する事が可能です。

被写界深度(DOF)について

弊社カタログに記載してある被写界深度(Depth of Field)の数値は下記の計算式により計算された数値となっております。

被写界深度(DOF)について
2{(許容錯乱円×実効F)/光学倍率の二乗}=被写界深度

被写界深度はお客様の使用環境により実際の数値と計算された数値とに差異がうまれます。差異が生まれる原因は次の通りになります。

上記計算式の中にある許容錯乱円(弊社計算値の場合他社と同様に0.04mmで計算)がレンズを使用される方の環境により計算式に使われる定数と違いが出る為です。
一般的にレンズのジャストフォーカス位置と言うのは1点しかなく被写界深度は厳密に言うと0となります。
ただし、実際には被写界深度が存在するのは左図を見て頂けるとわかると思います。
つまり、ジャストフォーカス位置からずれて起こるボケが許容される範囲が使用するカメラや検証用途、使用者の判断によりそれぞれ違う為に起こるのが原因なのです。

【許容外】
使用者により何処まで許容されるかが違う
【許 容】
この数値は弊社では他社同様0.04として計算を行なっている。
【ジャストフォーカス位置】
このジャストフォーカス位置にある点のボケを何処まで許容出来るかが実際の許容錯乱円となる。

エアリーディスクと分解能について

エアリーディスクとは、収差のないレンズを使って光を1点に集めようとしても点が同心円状ににじむ現象が発生します。
そのにじんだ円をエアリーディスクといいます。
エアリーディスク半径rは収差のないレンズという条件では以下の計算にて算出します。
この値を分解能といいます。
r= 0.61λ/NA
エアリーディスク径は波長によって変わり、長波長側ほど1点に集めにくくなる事が計算式からもわかります。
例)NA0.07のレンズの場合で波長550nm
  r=0.61*0.55/0.07=4.8μ
当社分解能はこのエアリーディスク半径を計算で算出し載せています。

MTFと分解能について

MTF(Modulation Transfer Function)とは物体表面の濃淡の繰り返しを、像側でどの様に再現されるかを空間周波数とコントラスト比で表した、空間周波数別コントラスト特性です。
簡単に言うとレンズの結像性能を表し、物体のコントラストをどの程度忠実に像として再現できるかを表したものをMTFと言います。
コントラスト性能は、特定の空間周波数を持った白黒等間隔のテストパターンを用います。ここで言う空間周波数とは、1mm幅の中に濃淡の繰り返しがどの程度あるかを意味します。

MTFと分解能について
図1に示した白黒の矩形波の場合白黒のコントラスト比は100%となります。このパターンをレンズで撮像し、レンズ像面におけるコントラスト比がどの様に変わったかを定量化します。基本的にはどんなレンズでも周波数の荒いパターンを撮像したときより細かい周波数のパターンを撮像した時の方が光学的収差などの影響が大きく出るためコントラスト比が徐々に低下していきます。コントラスト比が最終的に0%になると白のパターン及び黒のパターンが共にグレー一色となり全く区別がつかなくなります。

図2、3は物体側と像側の空間周波数の変化を示したグラフとなります。グラフ横軸が空間周波数となり縦軸が明るさとなっております。物体側と像側のある周波数におけるコントラストは図2、3に記載されている計算式によりA、Bで求めることが出来ます。そしてMTFはA、Bの比率により求めることが出来ます。

MTFと分解能について MTFと分解能について
次に、分解能とMTFの関係です。分解能とは2点をどれだけ分離して認識できるかの間隔を表すものです。 一般的に分解能の数値でレンズの良し悪しを判断される事が多いのですが実はMTFと分解能の両者が大きく関係してきます。図4を見て頂くと分解能とMTFの関係がわかって頂けると思います。
図4は性能の違う2つのレンズのMTF曲線を表したもので、レンズaは限界解像度は低いが低空間周波数でのコントラスト性能が高いレンズで、レンズbは限界解像度が高く低空間周波数でのコントラスト性能が低いレンズとなっております。先に述べた通り、通常は低周波数でのコントラストは忠実に再現されるためMTFは100%に近くなり高周波数でのコントラストは不明瞭になる為、限界解像力の周波数を超えるとコントラストがなくなり像はグレー一色となり区別がつかなくなります。実際にはレンズに収差がある為、限界解像度に達する前にコントラストが失われてしまいます。一般的にはしきい値は0.1とされています。この事を考えながら図4を見て頂くと次のような事が言えます。

MTFグラフに記載してあるⅠ付近の低周波数領域で検証する場合ではレンズaの方が良いレンズでⅡ付近の高周波数領域で検証する場合にはレンズbの方が良いレンズとなります。
以上の事からレンズの基本性能(限界分解能)が良いレンズbの方が優れたレンズと
思われがちですが結局は使用される方の使用環境に依存する為、一概に分解能のみでレンズの良し悪しを判断する事が出来ないのです。

フローティング機構について

撮像距離の変化に従ってレンズ内部のレンズ郡の間隔を変化させるシステムです。これにより、各収差補正や繰り出し量を最小限に抑えることが可能です。補正の為にレンズ郡の間隔を浮き木のように撮像距離に応じて移動させている為、フローティング(Floating)と呼ばれ、あらゆる倍率で性能を最大限に発揮することが出来ます。