レンズ選定サポート

レンズ選定方法

アプリケーション用途に応じた種々の環境に応じて対象物をカメラで的確にとらえるために、最適なレンズの選定が重要です。

レンズ選定に必要な項目、ステップを3つのセクションに分けて説明します。

1. レンズ選定時の確認事項

レンズ選定時に必要な項目をおさえておきましょう。
ステップ1の確認事項

①カメラ(素子サイズ)

  • 素子サイズ = 画素サイズ(V) or (H) x 有効画素数(V) or (H)

②視野(FOV)

  • 視野 = 素子サイズ(V) or (H) / 光学倍率

ステップ2の確認事項

③WD

  • レンズの物体側鏡筒端から物体までの距離

④被写体/ワーク

  • 撮影したい対象物

⑤用途

  • 使用する用途、アプリケーション
  • 例)OCRなど

⑥スペース

  • カメラから被写体までのスペース

⑦被写界深度(DOF)

  • 物体面が前後してもピントがボケずに鮮明であると受け入れられる範囲

⑧照明条件

  • 照明方法・形状を決める. ・被写体の立体的条件や設置条件から決める

⑨レンズ可動の有無

  • レンズが可動するシステム構成か、可動はなくても振動環境下であるかどうか確認

レンズ選定方法

2. レンズ選定ステップ1.2.3

ステップ1

アプリケーション用途に応じた種々の環境に応じて対象物をカメラで的確にとらえるために、最適なレンズの選定が重要です。


ステップ1の確認事項を振り返っておきましょう。

光学倍率とは、撮像したいワークの視野を何倍にしてカメラに取り込むかを示した値です。
光学倍率 = カメラ(V) or (H) / 視野 (V) or (H)
※カメラの寸法はピクセルサイズ×有効画素数にて求められます。

レンズ焦点距離の求め方

f = WD x 光学倍率(素子サイズ(V or H) / 視野(V or H))

f = 2000mm * 光学倍率(= 素子サイズ(4.8mm) / 視野(200mm))
f = 48mm

ステップ2

光学倍率が決まると、次は装置のスペースやカメラの設置距離、レンズのWDなどから条件を絞ります。


ステップ2の確認事項を振り返っておきましょう。
焦点距離から撮像範囲の求め方

視野(V or H) = WD x 素子サイズ(V or H) / f(焦点距離)

視野 = 1500 * 4.8 / 50 = 144mm
※ただし、この近似式による計算はあくまで目安としてください。
特に、近接域(WD300mm以下)で撮像する場合は計算値が大幅にずれる可能性もございますので、詳細は当社営業拠点にお問い合わせください。

※これらの関係式により同じ被写体までの距離(WD)の場合、焦点距離(f)が小さいほど視野が広くなり(広角レンズ)、大きくなるほど視野が狭くなります。

また同じ大きさの被写体を映した場合、焦点距離(f)が小さいほどWDが短く大きいほどWDが長くなります(望遠レンズ)。

ステップ3

ステップ1.2である程度のレンズが絞れました。次はどのような種類のレンズがあるのかを見ていきましょう。
各マシンビジョンレンズの種類と特徴
概要 長所 短所
テレセントリックレンズ
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レンズの主光線がレンズの光軸に対し平行な構造を持つレンズ。
同軸落射照明では必須。
被写界深度内において寸法精度が高い。
中心と周辺で見え方が変化しない。
寸法計測に向いている。
レンズが大きい。
高価である。
マクロレンズ
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近接撮影用に設定したレンズ。 TVディストーションが小さい。
小型・軽量で耐振性大。
一定のWDでしかピントが合わない。
視野範囲(倍率)を限定。
固定焦点レンズ
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無限遠まで結像し、フォーカス調整やアイリス調整が可能。 視野、WDが任意に変えられる。
低価格。
大きな視野に最適。
近接域においては、周辺の歪みが大きい。
周辺寸法が変動する。
大型素子・
ラインスキャンレンズ

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上記レンズのイメージサークルが大きいレンズ。 周辺光量差が小さく長作動距離。 サイズが大きく重量が重くなりやすい。
テレセントリックレンズ

主光線がレンズ光軸に対して平行なレンズです。同軸落射照明を要する場合物体側テレセントリックレンズが有効です。被写体に対して垂直な照明の正反射光を受光するのに有利です。被写界深度方向の寸法計測で数値の変動が小さく、周辺がほとんど歪まない[図1-1(a)(b)参照]ため高精度計測に向きます。結像位置での被写体の光学像の大きさがレンズから被写体までの距離(WD)には影響しないという特徴があります。但し、視野が大きくなればなるほどレンズサイズが大きくなり高価になります。

通常のレンズ

  • 通常のレンズ

像側テレセントリックレンズ

  • 像側テレセントリックレンズ

物体側テレセントリックレンズ

  • 物体側テレセントリックレンズ

両側テレセントリックレンズ

  • 両側テレセントリックレンズ

レンズ光線

斜めのチャートを真上から見た場合 [図1-1(a)]
通常のマクロレンズ
テレセントリック光学系

斜めのチャートを真上から見た場合は遠近感がでているのが非テレセントリック光学系のマクロレンズでテレセントリック光学系はチャートがまっすぐに認識できている。

コネクタのピンを真上から見た場合 [図1-1(b)]
通常のマクロレンズ
テレセントリック光学系

コネクタのピンを真上から見た場合、画面両端のピンの側面が非テレセントリック光学系のマクロレンズでは確認できるのに対し、テレセントリック光学系は完全に真上から見た画像となるためピンの倒れなどが検出しやすい。

マクロレンズ

近接(被写体までの距離WDが100mm前後)の撮影用に光学設計を行ったレンズです。たとえば数mmオーダの対象を高いズーム比率で撮影できるものがあります。当社のマクロレンズは一定のWD条件でピントが合い、その倍率で歪みがなく分解能の高い撮影ができるような設計を施しています。ただ、一定のWDの範囲でしかピントが合わないため、取り付けを的確に行う必要があります。テレセントリックレンズより小型で、電子基板検査などに幅広く採用されています。当社では固定倍率、固定絞りから可変倍率、可変絞りのメガピクセル対応製品を用意しています。

固定焦点レンズ

もともと監視用に開発されたレンズで、WDは無限遠まで対応できる設計となっています。大半が絞りやフォーカスの調整ができ、明るさの変更やピントの調整が容易です。価格が安いため、使用頻度は高い。但し、近接で使用する場合、周辺の歪みが大きく、寸法計測には不向きです。当社では、マクロ域での性能を向上させた製品をラインナップしています。

大型素子・ラインスキャンレンズ

主にラインスキャンカメラ用に使用されます。ラインスキャンカメラは受光側の寸法が35~80mm程度必要なタイプが主流、最近の高画素対応型は80mm位の受光寸法が必要なものもでてきています。通常の2次元カメラ(エリアセンサーカメラ)用レンズが使用できない場合が多い。このレンズは受光部面積が大きいため2次元カメラ用としても使用可能で、レンズ中心の収差の小さい光線を使用することで安定した解像力が得られます。ただし、レンズ自体が大きく重いので、可動部への取り付けには不向きであることと、レンズマウント方式がメーカーごとに異なるため、使用するカメラのマウントを必ず確認し選定する必要があります。

対物レンズ

測定顕微鏡に交換式の対物レンズを取り付けたもの。数mmから数十ミクロンの視野に対応し、高分解能な画像が得られます。対物レンズの高解像性能を維持し、簡易的にカメラへ画像を取り込めます。ただし、被写体までの距離(WD)が短く重量があります。当社では、ユーザーでの取り付けが容易な形状の同軸落射照明式鏡筒と交換式の対物レンズをラインナップしています。

お客様の用途に最適なレンズを提供する為レンズセレクターをご用意しています。

3. その他の留意点、レンズと組み合わせて使用する代表的オプションについて

カメラの撮像素子サイズの留意点

イメージサークルより大きなセンサーサイズを選定した場合、中央部分のみ撮像し周辺が暗くなる、あるいは結像しない、「ケラレ」という現象が発生します。

カメラマウント
2/3”の撮像素子とケラレの問題

撮像素子は長方形のため□の部分が映像化される

光学系は円のため
像は本来円形になる
適合素子サイズより大きな
センサーを使用した場合
ケラレの問題

カメラの撮像素子サイズの留意点

図1-2 カメラマウント
図1-2 カメラマウント

レンズとカメラの装着部はネジサイズやフランジバック(FB:取り付け面から焦点面までの距離)に応じマウント方式が異なります。(図1-2参照)エリアセンサーカメラではフランジバック(FB)が17.526mmのCマウントが一般的で、セキュリティー用のカメラにはFBが12.50mmのCSマウントがあります。ラインスキャンカメラはカメラメーカーに依存しており、比較的多いFマウントはFBが46.5mmですが、他にも様々なマウントがあり、採用するカメラに適合するマウント方式のレンズを選択する必要があります。たとえばCマウントタイプのカメラでは、ねじサイズは同じですがFBの違うCSマウントのレンズは使用できないので注意する必要があります。
現在、直径φ7~17mmのカメラ側オスネジタイプや20mm角程度の小型カメラもあり、これらはカメラメーカーにより独自の規格のFBやネジサイズのマウントが採用されています。当社では一部のモデルで小型カメラ対応のレンズを用意しています。また、カメラによってはたとえばCマウント方式を採用していても、カメラ内部にフィルターや機構的な干渉物があるため、レンズ側の出っ張りなどが干渉し取り付けられない場合がありますので、レンズ及びカメラのメカニカルバック(図1-2参照)を確認する必要があります。当社のレンズは、マシンビジョンで最もポピュラーなCマウントを標準採用しています。Cマウント以外の方式でもマウントアダプタを用意しているカメラメーカーもありますし、ご相談頂ければカスタムでの対応も可能です。

接写リングとリアコンバーターレンズ

VSTでは、標準のレンズに装着することで視野やWDを変える為のオプション品を用意しています。

接写リング SV-EXRシリーズ

主にCCTVレンズで近接撮影する際にレンズとカメラの間に装着する補助リングです。カメラとレンズの間を離すことでレンズのピント位置(WD)が近接域になります。視野範囲も必然的に小さくなります[図1-3(a)参照]。当社SV-EXRシリーズは0.2mmのスペーサーリングから50mmのリングの12種の幅広いラインナップを用意しております。

図1-3(a) 接写リング
図1-3(a) 接写リング

WDを短くして倍率をあげる


SV-EXR シリーズ

SV-EXR シリーズ

レンズ本体とカメラとの間に装着し、最近接距離(WD)を短くし、レンズ拡大率を上げることが出来ます。

リアコンバーターレンズ SV-Xシリーズ

レンズとカメラの間に装着して、WDを変えずに簡単に倍率を上げる(視野範囲を小さくする)補助レンズです。但し、倍率が上がれば明るさは低減します(1/レンズ倍率の2乗分低減)。当社ではSV-Xシリーズで1.5倍から5倍までラインナップしています。[図1-3(b)参照]

図1-3(b) リアコンバーターレンズ
図1-3(b) リアコンバーターレンズ

WD一定で倍率を上げる


SV-X シリーズ

SV-X シリーズ

レンズ本体のカメラマウント側に接続して使用し、最近接距離(WD)を変えずに倍率を上げることが出来ます。