MTFと分解能
一般的に分解能の数値でレンズの良し悪しを判断される事が多いのですが実はMTFと分解能の両者が大きく関係してきます。図で分解能とMTFの関係をご説明します。
図は性能の違う2つのレンズのMTF曲線を表したもので、レンズaは限界解像度は低いが低空間周波数でのコントラスト性能が高いレンズで、レンズbは限界解像度が高く低空間周波数でのコントラスト性能が低いレンズとなっております。先に述べた通り、通常は低周波数でのコントラストは忠実に再現されるためMTFは100%に近くなり高周波数でのコントラストは不明瞭になる為、限界解像力の周波数を超えるとコントラストがなくなり像はグレー一色となり区別がつかなくなります。実際にはレンズに収差がある為、限界解像度に達する前にコントラストが失われてしまいます。一般的にはしきい値は0.1とされています。この事を考えながら図4を見て頂くと次のような事が言えます。
MTFグラフに記載してあるⅠ付近の低周波数領域で検証する場合ではレンズaの方が良いレンズでⅡ付近の高周波数領域で検証する場合にはレンズbの方が良いレンズとなります。以上の事からレンズの基本性能(限界分解能)が良いレンズbの方が優れたレンズと思われがちですが結局は使用される方の使用環境に依存する為、一概に分解能のみでレンズの良し悪しを判断する事が出来ないのです。